更新 : 2018/02/28
公開 : 2011/08/15
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▲ 晩年の7300型の車内
 7300型は、1944(昭和19)年に国鉄(現JR)が「戦時設計」と称して製作していた63型電車で、戦後の混乱期に運輸省が戦災で車両不足にあった私鉄各社に割り当てた車両でした。
 「戦時設計」とは、製造工程の簡素化や資材を節約した設計のことで、強度の必要な部分には鉄を用いましたが、強度が不要な屋根や壁などは木製でした。客室内の天井板はなく屋根を支える骨組みが露出していたほか、座席も板張りで側面のガラスは節約のため3段窓が使用されていました。
 1946(昭和21)年7月に東上線に4両投入されたのが最初で、1947(昭和22)年までに40両(2両固定・20編成)が東武鉄道に配属されました。東武鉄道では初めての20m車両の入線となったため、浅草駅の急カーブが改修されるまで業平橋駅で折返し運転とする不便もありましたが、その投入効果はきわめて高く、輸送力増強や乗降時分短縮など施設の近代化へと大きく貢献しました。
 1949(昭和24)年には、名鉄に投入された63系(名鉄の初代3700系)14両(2両固定・7編成)の譲渡を受けました。
 1950(昭和25)年には国鉄の戦災復旧車が4両加わりますが、すべて制御車であったため、翌年にクハ318とクハ319を電動車化させて、58両(2両固定・29編成)を所有することになりました。
 形式は当初の国鉄の予定番号(モハ63000形、クモハ63000形)のまま使用され、予定番号がなかった制御車2両はクハ7800形として区別されていましたが、1951(昭和26)年の大規模な改番(車番変更)によりモハ6300形、クハ300形となり、戦災復旧車はクハ360形に統一されました。
 1951(昭和26)年4月24日、国鉄の63系が桜木町駅でたれ下がった架線に接触して発生した車両火災事故(桜木町事件)を教訓に、東武の6300型にも改良が施されました。パンタグラフの二重絶縁化、3段式の客室窓を2段式化、貫通幌の取付け、室内天井の設置、客室灯の蛍光灯化、放送装置の設置などが実施され、形式は7300型(モハ7300+クハ300形)に改番されました。
 1959〜1964(昭和34〜39)年にかけて車体の傷みが進行してきたため、台車や制御装置など一部の機器類を流用して、車体をすでに登場していた7800型に準じたものとする車体新製による更新工事が開始されました。
 しかし、1975(昭和50)年代になると使用機器の老朽化が進み、部品の調達も困難になってきました。また、木部を中心に保守的な問題も出てきたことから、1981〜1984(昭和56〜59)年にかけて廃車されました。
車体更新後の7300型
セイジクリーム色の7300型
撮影日 : 1981(昭和56)年
撮影地 : 東武東上線
撮影者 : 東武電車フォーラム
更新第1編成(323号編成/2両固定)
 更新第1編成の工事は、津覇車両で行われました。ヘッドライトが引っ掛け台座付きでベンチレータがグローブ形であるなど、種車から流用された部品が多く使用されていました。資材の節約が図られていたことから、7300型(7329編成を除く)の車体更新工事は津覇車輌が受け持つことになりました。
更新第2編成(329号編成/2両固定)
 更新第2編成の工事は、日本車輌で行われました。ヘッドライトが埋め込み式でベンチレータが押込形であるなど、7820型と同一の車体で更新されたことから新車扱いとなり、車両番号がクハ301+モハ7301からクハ329+モハ7329に変更されました。しかし、種車の 301編成の車籍が改番後にも存在していたため、廃車の手続きが車体更新時よりも遅くなっています。
更新第3・4編成(325、303号編成/2両固定)
 更新第3編成からは、ヘッドライトが埋め込み式に変更され、窓枠はアルミサッシとなり客室扇風機が取り付けられるなど、7870型にあわせて変更されました。7303編成の車体塗装は7329・7323編成と同じく窓回りが黄色で他はオレンジ色の試験塗装車として登場しましたが、7325編成は前面だけ窓回りがオレンジ色で他は黄色となる逆の塗り分けとなりました。
更新第5〜11編成(326、317、310、316、314、300、312号編成/2両固定)
 更新第5編成からは7870型に車体構造をあわせたため、パンタグラフの位置をクハとの連結面寄りに変更されました。車体の塗装は、7300・7800型の標準色となったオレンジ色に窓下黄色帯の塗り分けとなりました。
更新第12〜18編成(322、313、320、321、304、324、361号編成/2両固定)
 更新第12〜17編成までの6両(クハ322、313、320、321、304、324号車)にはトイレが設置されていました。館林区に配置されて準急用として使用されていましたが、1971〜1972(昭和46〜47)年にトイレは撤去されました。
また、電気機関車ED5060形の新造に伴い、これに使用する主電動機(MT−40)が流用されることになりました。7800型との間で下記の表のように台車交換も行われ、TR−25型台車からFS−10型台車に交換されました。台車交換された7300型の主電動機は、7800型のHS−269が使用されていました。
モハ7318 クハ894
モハ7319 クハ893
モハ7320 クハ891
モハ7321 クハ892
モハ7322 クハ862
モハ7323 クハ863
モハ7324 クハ861
更新第19〜29編成(308、315、305、307、311、309、362、360、306、363、302号編成/中間車2両)
 更新第19編成からは7300型の4両固定化に伴い、中間車に改造されたグループでした。中間車化されたモハ+サハは、2両固定のクハ+モハの間に組み込まれて、クハ+モハ+サハ+モハとなりました。車両番号は中間車化後も2両固定時代の番号がそのまま使用されました。
車体更新後の変更点
ツートンカラー時代
 1963(昭和38)年7月から一般車両のボディーカラーを統一するため、既に登場していた2000型と同じロイヤルベージュにインターナショナルオレンジを配したツートンカラーに変更されました。
 1965(昭和40)年からは踏切事故多発にともない、運転席前面外板を6mm鋼板とする補強工事が行われました。この工事にあわせて正面窓下に通風口が新設されています。
 1968(昭和43)年4月1日、伊勢崎・日光線の浅草−新栃木間、東上線の池袋−志木間でATSの使用が開始されたため、7300型にもATS装置が取付けられました。
 1968(昭和43)年頃から1灯だった前照灯をシールドビーム2灯化にする工事が行われました。また、室内を明るくする目的で、室内色の変更が行われました。壁の色が従来のグリーンからクリームになり、座席のモケットはブルーからラクダ色になりました。
セイジクリーム時代
 1974(昭和49)年6月から一般車両のボディーカラーが変更となり、ロイヤルベージュにインターナショナルオレンジを配したツートンカラーからセイジクリームになりました。
 1983(昭和58)年12月、4両固定のクハ 310+モハ7313+クハ315+モハ7310の中間車だけを廃車とし、2両固定に戻して伊勢崎線で使用されましたが、1984(昭和59)年9月に最後の7300型として廃車されました。
7300型・編成表 [1981(昭和56)年1月1日現在]
7300型  58両
← 浅草 ・ 池袋
クハ300 モハ7300 サハ300 モハ7300
[303F] 303 7305 305 7303
[323F] 323 7307 307 7323
[325F] 325 7327 360 7325
[329F] 329 7302 302 7329
クハ300 モハ7300 サハ300 モハ7300
[300F] 300 7306 306 7300
[310F] 310 7313 315 7310
[312F] 312 7309 309 7328
[316F] 316 7314 308 7316
[317F] 317 7311 311 7315
[326F] 326 7312 363 7326
[361F] 361 7308 362 7304
クハ300 モハ7300
[314F] 314 7317
[304F] 304 7318
[313F] 313 7319
[320F] 320 7320
[321F] 321 7321
[322F] 322 7322
[324F] 324 7324
主な運用区間
伊勢崎 線 : 浅草〜伊勢崎間
日 光 線 : 東武動物公園〜東武日光間
東上 本線 : 池袋〜寄居間
越 生 線 : 坂戸〜越生間
 晩年の7300型の配置は、4両固定11編成が東上線の森林公園検修区の在籍で、2両固定7編成が館林電車区に在籍していました。運用区間は、東上本線の池袋〜寄居間と越生線の坂戸〜越生間、本線系統では長距離準急列車などの運転を中心に活躍していました。末期は平日の朝に東武動物公園〜加須間で運転されていた通学列車として使用されていました。
保 存 部 品
TR-25台車
撮影日 : 2010(平成22)年1月1日
撮影者 : 東武電車フォーラム ( KY )
7300型の台車 (所在地:埼玉県越谷市千間台東2-9)
 東武鉄道のモハ7300形で使用されていたTR−25台車は、埼玉県越谷市立児童館「コスモス」で展示されています。
 最寄り駅は東武伊勢崎線のせんげん台駅で、徒歩10分ほどのところにあります。東口から大通りをまっすぐ歩くと、左側にお城のような建物をした越谷市立児童館「コスモス」があります。TR−25台車は、児童館の建物の脇で保存展示されています。
 台車をさまざまな角度から観察することができ、台車の構造がわかるボードも設置されていました。屋外展示のため錆が目立ちましたが、保存状態は良い方だと思います。
も ど る