更新 : 2017/08/20
公開 : 2017/08/20
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▲ 復元された新造時の5700型の車内
 5700系列は、日光線の特急用車両として活躍していた5310型(元デハ10型)に代わり、戦後初めて新造された特急用車両でした。当初は5310型の性能にあわせてダイヤを設定していたため、浅草〜東武日光間は2時間23分でしたが、1953(昭和28)年に特急を全車5700系列に置き換えたため、浅草〜東武日光間は2時間16分となり、戦前のレベルまでスピードアップが図られました。
 1951(昭和26)年と1953(昭和28)年に2両固定3編成ずつ製造され、合わせて2両固定6編成(12両)が登場しましたが、新造時は前頭部の形態や駆動方式の違いから、3形式に分類されていました。分割併合運転を考慮してモハ+クハの2両固定となっており、トイレはクハ車、放送室はモハ車に設けられていましたが、1956〜1957(昭和31〜32)年に放送室は売店に変更されました。
 新造時の車内の壁は薄いグリーン系で、座席は紺色の転換式クロスシートでした。室内灯は東武初の蛍光灯を設置し、後にカバー付きのものに変更されました。その後、天井には扇風機が設置され、窓の横の壁に扇風機を操作できるスイッチが設置されました。各座席の壁には折りたたみ式のテーブルと灰皿が設置され、日よけには木製の鎧戸(よろいど)が使用されていました。
 5700系列を使用した特急列車は満席になることが多かったことから、その対応として観光バスの座席に設置されいているような折りたたみ式の補助椅子を設置して座席を増やしたこともありました。それでも対応できないときは、扉付近の空いているスペースに肘掛け付きの椅子が運び込まれるほど好評でした。
5700・5710・5720型
略称 製造当初の車号 改番後の車号
A編成
モハ5700 クハ700 モハ5700 クハ700
[5700F] 5700 700 [5700F] 5700 700
[5701F] 5701 701 [5701F] 5701 701
B編成
モハ5710 クハ710 モハ5700 クハ700
[5710F] 5710 710 [5702F] 5702 702
[5711F] 5711 711 [5703F] 5703 703
C編成
モハ5720 クハ720 モハ5700 クハ700
[5720F] 5720 720 [5704F] 5704 704
[5721F] 5721 721 [5705F] 5705 705
改番前と改番後の5700型の関係
 1951(昭和26)年と1953(昭和28)年に2両固定3編成ずつ製造され、合わせて2両固定6編成が登場しました。新造時は前頭部の形態や駆動方式の違いから、3形式に分類されていました。
5700型(5700・5701号編成/2両固定)
 5700型はA編成と呼ばれ、1951(昭和26)年に5700号編成が日本車輌、5701号編成が汽車会社で製造されました。駆動方式は釣り掛け式で、非貫通・流線形の前頭部となっていました。ヘッドマークの飾り帯が猫の髭(ひげ)のように見えたことから「ネコひげ」の愛称で呼ばれていました。
5710型(5710・5711号編成/2両固定)
 5710型はB編成と呼ばれ、1951(昭和26)年にモハ5710号車が汽車会社、クハ710号車が日本車輌で製造され、1953(昭和28)年に5711号編成がナニワ工機(後のアルナ工機)で製造されました。駆動方式は5700型(A編成)と同じ釣り掛け式でしたが、分割併合時の運用を考慮して当初から貫通・半流線形の前頭部となっていたため、5710型として分類されていました。
 5700型と5710型の使用方法は、5700型のみと5710型のみの2両編成のほかに、5710型の運転台を向かい合わせる形で連結させて、分割させた5700型の間に組み入れた4両編成があり、下今市で日光行と鬼怒川温泉行に分割する列車に使用されました。
A編成 B編成 B編成 A編成
A編成B編成
 しかし、1956(昭和31)年に登場した新型特急用車両の1700型(白帯車)により、5700型と5710型は車体に青帯を入れた「青帯車」となり急行用に格下げされました。
5720型(5720・5721号編成/2両固定)
 5720型はC編成と呼ばれ、1953(昭和28)年に5720号編成が日本車輌、5721号編成が汽車会社で製造されました。車体は5710型と同じですが、駆動方式に直角カルダン式を試用していたため、5720型として分類されていました。新型特急用車両の1700型(白帯車)の登場後は、5720型の車体にも白帯を入れて1700型との併結運転も行っていましたが、1957(昭和32)年に1710型が増備されたため、白帯を青帯に変更して急行用に格下げされました。
製造後の変更点
 1960(昭和35)年、分割併合時の制約が問題となり、5700型が5710型と同じ貫通・半流線形の前頭部に改造されました。
 1961〜1966(昭和36〜41)年、5720型と5800型で試用していた直角カルダン駆動の故障が多かったため、5720型は釣り掛け式に変更され、台車交換が下記のとおり行われました。
モハ5720 クハ711
モハ5721 クハ710
モハ5800 クハ701
モハ5801 クハ700
 この結果、5700型と5720型は5710型と同じ形態・性能となったことから形式で分類する必要がなくなり、1965(昭和40)年に車両番号の変更が行われ、5700型に統一されました。
5700型
臨時快速で活躍する5700型
撮影日 : 1990(平成2)年10月27日
撮影地 : 東武鬼怒川線
撮影者 : 姫乃太郎 様
5700型(5700〜5705号編成/2両固定)
 1965(昭和40)年の車両番号の変更により5700型に統一された後も異動は続き、1969(昭和44)年に伊勢崎線の新型急行用車両の1800型が登場したため、日光線の臨時快速急行列車や団体列車などに使用されるようになりました。
 車体更新工事を行う東武鉄道としては珍しく、最後まで新造時の形態を多く残していたことから、1991(平成3)年に鉄道友の会より長年にわたり現役で活躍している鉄道車両に贈られる「エバーグリーン賞」に選ばれ、同年3月24日には、エバーグリーン賞受賞記念列車が業平橋〜新栃木間で運転されました。しかし、日光線の急行用として登場した300・350系によって5700型が余剰となったことから、同年7月20日に浅草〜東武日光間で運転されたさよならツアー列車を最後に現役を引退、40年の長い活躍を終えました。
改番後の変更点
 1966(昭和41)年:1灯だった前照灯をシールドビーム2灯化。
 1967(昭和42)年:5703号編成の窓枠をアルミサッシ化・内装の鋼板化・木製の鎧戸をロールカーテン化。
 1968(昭和43)年:5704号編成の窓枠をアルミサッシ化・内装の鋼板化・木製の鎧戸をロールカーテン化。
 1968(昭和43)年:伊勢崎・日光線の浅草〜新栃木間でATS使用開始。5700型にATS装置を設置。
 1968(昭和43)年:室内色を変更(薄いグリーン色をクリーム色に変更)。
 1969(昭和44)年:全座席を交換(同時に座席のモケット色を紺色からラクダ色に変更)。
 1972〜1973(昭和47〜48)年:トイレに汚物処理装置を設置。
 1981(昭和56)年:5705号編成の窓枠をアルミサッシ化。
 
 1987(昭和62)年:5704号編成と5705号編成を除き、列車無線装置を取り付け。
5700型・編成表 [1991(平成3)年4月1日]
5700型  12両
← 浅草
モハ5700 クハ700
[5700F] 5700 700
[5701F] 5701 701
[5702F] 5702 702
[5703F] 5703 703
[5704F] 5704 704
[5705F] 5705 705
主な運用区間
東武伊勢崎線 : 浅草〜伊勢崎間
東武佐野線 : 館林〜葛生間
東武桐生線 : 太田〜赤城間
東武日光線 : 東武動物公園〜東武日光間
東武鬼怒川線 : 下今市〜新藤原間
東武野田線 : 船橋〜春日部〜大宮間
 晩年の5700型は全車両が春日部検修区に在籍していました。運用は浅草〜東武日光・新藤原間の臨時快速列車などに使用されていましたが、団体列車として野田線や佐野線・桐生線などへ直通する列車もありました。
保 存 車 両
新造時の姿に復元された5701号車
撮影日 : 2009(平成21)年7月18日
撮影者 : 東武電車フォーラム
モハ5701号車 (所在地:東京都墨田区東向島4-28-16)
 モハ5701号車は、東武伊勢崎線の東向島駅の高架下にある東武博物館で展示されています。屋外の展示ですが上屋が設置されており、プラットホームを模した通路に横付けされて保存されています。東武博物館の展示物ということもあり、保存状態は良好でした。
 5701号編成(モハ5701号車+クハ701号車)は現役引退後、杉戸工場内の建物のなかで保存されていましたが、1800型の通勤車化改造を行う際に建物の外に出されてしまい、車体にシートが覆われた状態でしばらく留置されていました。しかし、東武博物館が開館20周年を記念してリニューアルオープンすることになり、展示場所の関係からモハ5701号車だけが新造時の姿に復元されて展示されることになりました。
 クハ 701号車の車体は解体されてしまいましたが、KS-105台車だけは上毛電気鉄道の大胡車庫に保存されています。
5703号編成を使用したレストラン
撮影日 : 2004(平成16)年1月11日
撮影者 : 東武電車フォーラム
モハ5703号車+クハ703号車 (所在地:埼玉県行田市前谷463-1)
 5703号編成(モハ5703号車+クハ 703号車)は、埼玉県吹上町の電車のお店のカフェ&レストラン「マスタード・シード」さんとして使用されています。
 最寄り駅はJR高崎線の吹上駅で、徒歩20分ほどのところにあります。吹上駅北口から大通りをまっすぐ進み、上越新幹線の高架線を潜ったところで左へ曲がってしばらく歩くと、右側に5703号編成が見えてきます。
 営業時間は、ランチタイム(11時30分〜14時30分)とディナータイム(17時30分〜23時00分)があり、定休日は毎週火曜日と第2月曜日となっています。詳しくは「マスタード・シード」さんのホームページもご覧下さい。
 車体は現役時代の姿を維持しており、定期的に塗装しているので保存状態は良好でした。車内はきれいに改装されていて、モハ5703号はカウンター席、クハ 703号はテーブル席になっていますが、天井の扇風機や蛍光灯カバーなどが現役時代の面影をとどめています。
 モハ5703号の前頭部だけはカットされて、アルナ工機の本社内で展示されていましたが、現在は東武博物館の館内へ移転して保存展示されています。
5700型の写真はこちら
も ど る